ウラの目と銀杏の村



あきのよわいよるのあめにうたれて、
まっかないちょうのはっぱが
ともだちのほおにはりついたのです。

2010年初秋。群馬県山中。
とあるキャンプ場の一角に、全長1キロメートルからなる巨大なアスレチックコースがある。
女の子が自由帳に文章を書いている。日記のつもりなのか、手紙のつもりなのか。

「わたしはウラ。おにのこどもです。おともだちをさがしに、さとにやってきました。わたしのだいすきなのは、にんぎょうとにんぎょうのめとにんぎょうのめのガラスだま。」

ウラは、秋の夜に降る細かな雨の音を聴く。
里の家から盗んできたたくさんの宝物(その多くは何の価値もないガラクタばかり)に囲まれながら、
固いパンを、ゆっくりと時間をかけてかじる。

「こんやはたくさんはっぱがふってきます。いちょうのはっぱはあかいろなのでとてもきれいです。ちみたいないろ。はやくおともだちにみせたい。」

やがて現れる里の人間たち。穏やかな山中に怒号が響き渡る。
鬼と人は決して相容れない。

「おにはころされてしまうかもしれません。」

25年前の凄絶な事件。消えた356人の子供達。無実のボーイスカウト。
穢れた血の契り。自殺志願者のサラリーマン。熱血体育教師の絶望。それぞれの生と血がキャンプ場の固形燃料で燃え上がる。
流れるのはピアノ。逆から弾いた「戦場のメリークリスマス」。

キコ qui-co.がお送りする心臓破りの土着型幻想演劇。
信じられる唯一のぬくもりを求める冒険綺譚。

作・演出  小栗剛

【CAST】
清水那保(DULL-COLOREDPOP)
如月萌
木村友美
こいけけいこ(リュカ.)
サキヒナタ
酒井和哉
佐藤健士
東澤有香
原瑞穂
堀川炎(世田谷シルク)
小栗剛(キコqui-co.)

【演出助手】オノマリコ(趣向)
【舞台監督】桜井健太郎
【美術】松本謙一郎
【照明デザイン】松本永(Fantasista?ish.)
【照明操作】松本有加
【音響】モリタユウイチ(OTOZAK)
【映像】荒船泰廣(sushi film)
【宣伝美術】小栗剛/荒船泰廣
【制作】浅見絵梨子