東澤 有香(トウザワ ユカ)

きみちゃん
東澤 有香(トウザワ ユカ)


2月24日生まれ(年齢不詳)。東京都出身。女優。高卒。

引っ込み思案だった幼少時から家出をすることが趣味だった。
叔父が経営していた映画館に隠れることが多く、映写室からシネマを観る少女時代だった。今ではその映画館も取り壊されてしまったが、あの大きなスクリーンは彼女の心の中で、振り返ったリリアン・ギッシュの物憂げなラストシーンを映し続けている。
心を閉ざしがちだった10代だが、長渕剛のアルバム「昭和」を聴くことで人生に変化が訪れる。1曲目の「くそったれの人生」における曲頭のシャウトが彼女の何かを変えた。来る日も来る日も荒川の土手で歌詞カードを眺めた。
長渕が大麻所持で逮捕された時、東澤は女優になることを誓った。
「胸が張り裂けそうだったから。」
と彼女は振り返る。下弦の月が消え入るように川の向こうの工場地帯に消えた、冬の誕生日だったと言う。
18歳時に小栗と会う。当時、高校教師だった小栗は東澤の女優としての資質を見抜き、由緒正しい俳優の専門学校へ進学させる。学費は全て小栗が持ったと言う。東京の様々な演劇のシーンで研鑽を積んだ東澤だが、やがて俳優としての壁にぶつかる。声が思うように出せなくなってしまったのだ。取り返そうと試みたハードワーク(焼酎でうがい)は功を奏さず、ついにその声は枯れ声になってしまった。
「もう、輝けない。」
長渕を聴いても、もっと好きなX japanを聴いても、自分を振るい立たせることができなかった。
リリアン・ギッシュに憧れ、女優の道を志してからすでに30年が経っていた。
そしてあの男が再び東澤の前に現れる。
「キコ/qui-co.って言うんだ。その声を待ってたんだ。来いよ。」
なんてかっこいいんだろう。小栗。と東澤は思いました。

以降、キコ/qui-co.には多数参加。
佐藤に続き出演回数が多い。キコ/qui-co.の良心的存在だが、怒るとたぶん一番怖い。

「湿原を舞う綿毛のごとく」
東澤の魅力で多く語られるのは、その華奢なシルエットと清廉とした佇まいである。さらに、決して肉感的でないのに確固として漂う女の色気。これらの評判を良く耳にする。もちろん確かな演技力があって輝くエレメントであり、俳優としてしっかりとした裏打ちがあってこそのものだ。
しかし、東澤が東澤たる所以はそこではない。
東澤は気丈な女だ。
でも、実は、ふわっふわしている。
黙ってればいいのに、話すと、なんだか、ふわっふわしてる。
言動が読めない。つかみどころが無い。
けっこう、無鉄砲。
おまけに方向音痴。
ふわっふわしているのだ。そこがいい。
彼女が板の上に立つ時、野蛮な夢を見る少女の陽射しが見える。
それはまるで危うい精神に駆られた歓喜のブルーズのようだ。

演劇グループ キコ/qui-co.のサイトです。